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2010年2月15日
(時々コラム)「蛍の頃」に感涙
のべおかんシアター「蛍の頃」の一場面。通し稽古から

のべおかんシアター「蛍の頃」の一場面。通し稽古から

 カーテンコールに出てきた友の顔は、遠目にも真っ赤なのがすぐ分かった。

 

 3日間、計4回におよんだ公演を、いずれも超満員の盛況のうちに終えたことへの充実感、そして安堵感だったのか。それとも、4カ月に及ぶ楽しく辛い稽古漬けの日々が終わることへの寂しさを既に感じていたのか。ただ、あの時、友に聞いたところで、すぐには答は返ってこなかっただろう。こちらの目も腫れていたのだから……。

 
 2月7日、のべおかんシアター「蛍の頃」の最終公演を見た。シナリオ、演出の素晴らしさ、出演者の熱演に、2時間超の舞台がとても短く感じられた。

 
 東京で役者、脚本家、演出家として活躍する延岡市出身の本田誠人さん(36)が、昭和30年代の延岡に実在したキャバレー「シスター」を舞台に書き下ろした作品。昨年1月、東京の恵比寿・エコー劇場で初演し大好評を得た舞台を、ふるさと延岡で、オーディションで選ばれた県北を中心にした県内の役者さんたちで再演した舞台だ。

 
 公演が始まる1週間前だったろうか。通し稽古を見る機会があった。別の会議が重なり、後半部分しか見ることができなかったが、役者さんたちの熱演ぶりにすぐに引き込まれ、本公演の日が待ち遠しくなった。

 
 ただ、その時の友の演技はいつもの彼らしくなく、気負いがあるように見えた。数日前、友から「とにかく稽古の密度が濃い。毎回、涙の出ない日はないぐらい。特に若い連中の気迫がすさまじく、おじさんは付いていくのに必死だよ」と、うれしい悲鳴にも似たつぶやきを聞いていただけに、気合が入りすぎているのかなとも思った。

 
 しかし、最終日に本番の舞台を見て合点がいった。というより、舞台を最初から見ることで、通し稽古の時に感じた違和感は全く消え失せていた。キャバレーというステージで、けなげに、明るく、精一杯生きる女性たちを、イキイキと演じる女優さんたち。その中で、少し怖くて、少し情けないマスターの存在感を示すには、あれぐらいの演技をしなければいけなかったのだろう。

 
 ホステスさんが売春防止法違反でつかまったり、年老いた絹子ママが認知症になったり、可憐だったホステスが妊娠してたくましい母親に変身したり……。人生の厳しさやほろ苦さを描く一方で、女性の持つ強さ、たくましさ、愛の深さにスポットを当てた舞台だった。

 
 中でも酒を全く受け付けない体質なのに、息子のため、浮気性のマスターのため、働くホステスさんたちのため、飲めない酒を飲みながらキャバレーを切り盛りする絹子ママの姿に、見ている誰もが涙をこらえることができなかった。

 
 自分の祖母や父母をモデルにしたとはいえ、そんな奥深い脚本を描き、演出した本田さんの才能に改めて感服した。本田さんが宮崎の役者さんたちとともに創り上げる舞台を、ぜひまた、この延岡の地で見たいと思った。

 
 そして、本田さんの期待に見事に応え、一回りも二回りも成長した役者さんたち、それぞれが所属する劇団の今後が、とても楽しみになってきた。素晴らしい舞台を見る機会を与えてくれた友に感謝! 感謝!(K1)





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